JOLTS求人件数とは?
雇用統計が終わった翌月の上旬、「また重要な雇用の指標があるの?」と驚いたことはありませんか? それが、JOLTS求人(求人労働異動調査)です。
以前はそれほど注目されていませんでしたが、FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長が「労働市場の過熱感を測るために、この指標を注視している」と明言して以来、相場を大きく動かす「準・最重要指標」へと出世しました。
この記事では、JOLTS求人がなぜ重要なのか、その見方とトレードへの影響を解説します。
JOLTS求人(ジョルツ)とは
JOLTS(Job Openings and Labor Turnover Survey)は、米国労働省が毎月発表する、全米の「求人件数」や「離職件数」などを調査した統計です。
日本語では「求人労働異動調査」と呼ばれますが、トレーダーの間では単に「求人件数」や「ジョルツ」と呼ばれます。
雇用統計との違い
「米雇用統計(NFP)」と何が違うのか、その役割を比較してみましょう。
JOLTS求人
- 焦点:企業の「求人意欲」(=労働需要)
- 発表時期:2ヶ月遅れ(かなり遅い)
- FRBの視点:インフレの「火種」を確認する
米雇用統計(NFP)
- 焦点:実際の「雇用者数」(=労働供給の結果)
- 発表時期:翌月すぐ(非常に早い)
- FRBの視点:経済の「現状」を確認する
ポイント: JOLTSはデータの集計に時間がかかるため、発表されるのは「前々月」のデータです。速報性は低いですが、その分「内容の質(中身)」が重視されます。
最重要項目は「求人件数」と「離職率」
JOLTSで発表されるデータの中で、トレーダーが見るべき数字は2つです。
1. 求人件数(Job Openings)
企業が「人を採用したい」と思っている数です。これが予想より多いと、「労働市場はまだ強い(=人手不足)」と判断されます。
- 求人件数が多い → 賃金上昇圧力になる → インフレ懸念 → 利上げ継続(ドル高)
- 求人件数が少ない → 労働市場の軟化 → 利下げ期待(ドル安)
2. 自発的離職率(Quits Rate)
ここが玄人向けのポイントです。JOLTSには「クビ(解雇)」ではなく、労働者が「自ら辞めた」数も含まれます。

『自分から辞める人が多い』ということは、次のもっと条件の良い仕事が見つかりやすいという『自信の表れ』です。つまり、離職率が高いと、企業は給料を上げざるを得なくなり、インフレが加速します。だからFRBはここを恐れているのです!
「求人倍率」で相場の温度感を測る
ニュースなどでよく「失業者1人あたりの求人数」という言葉を聞きませんか? これは JOLTSの求人数 ÷ 失業者数 で算出される数値で、FRBが最も気にしているバランスです。
- 1.0倍: 失業者1人に求人1件(バランスが良い)
- 1.0倍以下: 仕事が足りない(不況)
- 1.5倍〜2.0倍: 仕事が溢れている(インフレ過熱)
この倍率が高止まりしている間は、FRBは金融引き締め(高金利)を緩めることができません。
トレードでの活かし方と注意点
1. 発表時間は「24:00」
ISMなどと同じく、日本時間の24:00(冬時間)に発表されます。 値動きのパターンとしては、「求人件数が予想から大きく乖離した時」にドル円が30〜50pips程度瞬間的に動くことが多いです。
2. 「悪い結果」への反応が敏感
最近の市場トレンドとして、求人が減っている(=不景気への入り口)というニュースに対して、ドル売りで過敏に反応する傾向があります。 「予想を下回った場合」は、素早いショート戦略が機能しやすいかもしれません。
まとめ
JOLTS求人は、少しマニアックですが、FRBの頭の中(インフレへの警戒度)を覗き見るための重要なレンズです。
- 雇用統計よりも「企業の採用意欲」にフォーカスしている
- 「離職率」が高いと、賃金インフレが止まらないサイン
- 「失業者1人あたりの求人数」が減ってくれば、利下げは近い
この指標の意味がわかると、「なぜ雇用統計が悪かったのに、FRBはタカ派(強気)のままなんだ?」といった疑問が解けるようになります。 ぜひ、毎月のチェックリストに加えてみてください。