住宅着工件数とは?
Trade Agency編集長のKです。
今回は、雇用統計やCPIのような派手さはありませんが、「不況はいつもここから始まる」と言われるほど重要な先行指標、「住宅着工件数(Housing Starts)」について解説します。
Fintokeiなどのプロップファームでトレードしていると、つい目先の値動き(pips)に夢中になりますが、中長期の資金フローを支配しているのは、実は「住宅市場の動向」です。
なぜなら、家が売れなければ家具も家電も売れず、ローンも組まれず、経済全体のエンジンが止まるからです。この「経済のトップランナー」の読み解き方を、現場視点でシェアします。
住宅着工件数とは何か?
住宅着工件数は、米商務省が毎月中旬(通常15日〜20日頃)に発表する指標で、その月に「建設が開始された新築住宅の戸数」を示します。
米国経済において、住宅投資はGDPの数%程度ですが、その「裾野の広さ」が桁違いです。
- 木材・鉄鋼などの素材需要。
- 建設労働者の雇用。
- 入居後の家電・家具・保険・引越しサービスの需要。
これらがすべて住宅着工から始まるため、景気全体の先行指標として扱われます。
基本的な見方
- 数値が増加・予想以上: 景気見通しが明るい → 金利上昇圧力 → ドル買い要因。
- 数値が減少・予想以下: 景気減速懸念 → 金利低下圧力 → ドル売り要因。
- 特徴: 天候(ハリケーンや大雪)の影響を受けやすく、単月の数値はブレが大きい。
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なぜ「金利」に一番敏感なのか
住宅購入のほとんどはローン(モーゲージ)で行われます。そのため、FRBの政策金利や長期金利(10年債利回り)が上昇すると、住宅ローン金利も上がり、即座に買い控え(着工減)が起きます。
つまり、住宅指標を見ることは、「FRBの利上げ・利下げが実体経済に効いているか」を確認する答え合わせそのものなのです。
セットで見るべき「建設許可件数」
住宅着工件数と同時に発表されるのが、「建設許可件数(Building Permits)」です。 実は、プロのトレーダーやエコノミストがより重視するのは、着工件数よりも許可件数の方である場合が多いです。

家を建てるには、まず役所に「許可」を申請し、その後に「着工」しますよね? つまり、許可件数は着工件数のさらに先行指標なんです。着工件数は天候で工事が遅れてズレることがありますが、許可件数は申請ベースなのでブレが少なく、トレンドが綺麗に出ます。 ニュースのヘッドラインは「着工件数」になりがちですが、中身の「許可件数」が減っていたら、将来の着工減は確定路線です。
【比較】住宅着工件数と建設許可件数の違い
この2つは「ニコイチ」で発表されますが、役割分担を理解しておきましょう。
住宅着工件数(Housing Starts)
- 定義: 実際に建設工事が始まった戸数。
- 性質: 一致〜少し先行指標。
- 弱点: 天候不順(大雪など)で数値が大きく落ち込むことがあり、ノイズが多い。
- 市場反応: ヘッドラインとしてアルゴリズムが反応しやすい。
建設許可件数(Building Permits)
- 定義: 地方自治体から建設許可が下りた戸数。
- 性質: 真の先行指標(着工の1〜2ヶ月先を行く)。
- 強み: 天候の影響を受けにくく、需要のトレンドを正確に反映する。
- 市場反応: 初動後のトレンド形成に影響を与える。
Fintokeiトレーダーの実戦的アプローチ
住宅指標は、Fintokeiでのトレードにどう活かすべきか。直接的な値動き狙いよりも、環境認識に使うのがベターです。
1. ニュース取引制限の有無を確認
通常、住宅着工件数はFintokeiの「ニュース取引制限(News Trading Rule)」の対象外(Red Folderではない)であることが多いです。 しかし、インフレやリセッションが極度に懸念されている時期は、市場の注目度が上がり、Red Folderに格上げされるケースもあります。
2. 「逆張り」がワークしやすいケース
住宅指標は、CPIのように「一方通行で爆発する」ことは稀です。 むしろ、発表直後にドル円が20〜30pips跳ねた後、「でも金利は動いていないな」と冷静になった市場が全戻しするケースがよく見られます。
- 戦略: 発表直後のスパイク(急騰・急落)を見送り、5分足で長い上髭・下髭が出たのを確認してから、逆方向へエントリーする。
3. リセッション(景気後退)の前兆として読む
Fintokeiで長く生き残るには、大きなトレンドに乗ることが不可欠です。 もし、建設許可件数が数ヶ月連続で前月比マイナスを記録しているなら、それは半年〜1年後の景気後退シグナルです。
この場合、長期的には「ドル売り・円買い」あるいは「ゴールド買い」の圧力が強まることを頭に入れて、日々のトレードシナリオ(売り目線強めなど)を構築します。
まとめ:経済の「基礎工事」を確認せよ
住宅着工件数・建設許可件数は、派手な値動きこそ少ないものの、「米国経済の基礎体力」を測るための必須ツールです。
- 「許可件数」を真の先行指標として重視する。
- 単月のブレ(天候要因)に惑わされず、3ヶ月移動平均などのトレンドを見る。
- Fintokeiでは、スプレッド拡大後の落ち着きを待ってからトレードする。
「家が建たなくなったら、経済は終わる」。このシンプルな原則を忘れないでください。 次回の発表時は、ヘッドラインの数字だけでなく、内訳の「許可件数」がどうなっているか、ぜひチェックしてみてください。