耐久財受注とは?
「今月は耐久財受注が爆上がりだ!ドル買いだ!」 と飛びついたら、すぐに全戻しして損をした…。 そんな経験はありませんか?
その原因の多くは、この指標特有の「あるクセ」を理解していないことにあります。
米国の耐久財受注は、製造業の好不調を判断する非常に重要なデータですが、中身を見ずにヘッドライン(見出しの数字)だけで判断するのは危険です。
この記事では、耐久財受注の正しい読み方と、プロが本当に注目している「コア」な部分について解説します。
耐久財受注とは
耐久財受注(Durable Goods Orders)は、米国商務省センサス局が毎月下旬に発表する、製造業者に対する「耐久財」の新規受注額の統計です。
「耐久財」とは、簡単に言えば「3年以上使える長持ちするモノ」のことです。
- 自動車、航空機
- パソコン、家電製品
- 工場の機械、重機 など
これらは価格が高いため、景気が良くないと売れません。 つまり、この受注が増えるということは、企業や消費者が「将来の景気に自信を持っている」という証拠になります。
「総合」と「コア(除輸送機器)」の違い
この指標を見る上で、絶対に区別しなければならないのが以下の2つです。 ニュース速報では両方流れますが、意味合いが全く異なります。
総合(ヘッドライン)
- 内容:航空機や自動車を含む全ての受注
- 特徴:変動(ボラティリティ)が激しい
- 理由:航空機(ボーイング)などの巨大な注文が入る月と、入らない月の差が激しいため
コア資本財(非国防資本財・除航空機)
- 内容:変動の大きい輸送機器と国防関連を除いたもの
- 特徴:企業の「設備投資」の実態を表す
- 重要度:FRBやプロはこちらを重視する
結論: 「総合」の数字が良くても、それがたまたま飛行機がたくさん売れただけなら、持続性はありません。 景気のトレンドを見るなら、右側の「コア資本財」の推移が最重要です。
数値の見方:設備投資はGDPの先行指標
なぜ「コア資本財(Core Capex)」がこれほど重視されるのでしょうか? それは、この数字がGDP(国内総生産)の「設備投資」項目を計算する基礎データになるからです。
【景気サイクルの読み方】
- 企業が機械を発注する(耐久財受注・コアの増加)
- 数ヶ月後に機械が納品・稼働する
- 生産能力が上がり、GDPが成長する
つまり、耐久財受注は、実際の経済成長(GDP)よりも一歩先に動く「先行指標」なのです。
ボーイング(航空機)の「ノイズ」に注意
「総合」の数値は、米航空機大手ボーイング社の受注状況に大きく左右されます。 ボーイングが大口契約を取った月は、総合指数が「+10%」のように跳ね上がることがありますが、これは一時的なノイズ(雑音)として処理されることが多いです。
トレードでの活かし方
1. 「コア」の結果で判断する
発表直後、アルゴリズムは「総合」の数字に反応して動くことがありますが、人間のトレーダーや機関投資家は中身(コア)を確認してから本格的に動きます。
- 総合が良いが、コアが悪い: 初動でドルが買われても、すぐに売りに押される(上ヒゲになる)可能性大。
- 総合もコアも良い: 文句なしの強い経済指標。素直なドル買いトレンドになりやすい。
2. 「修正値」が多い指標
前述の「新築住宅販売件数」と同様に、耐久財受注も過去分の修正(リビジョン)が非常に多い指標です。 「今月の結果は予想通りだったが、先月分が大幅に下方修正された」という場合は、トータルで「ドル売り」と判断されます。

発表時間は21:30(冬時間は22:30)です。この時間はNY市場のオープン前で板が薄いことが多く、航空機の受注次第ではガチャガチャと乱高下するので、飛び乗りエントリーは火傷しますよ!
Fintokeiなどのプロップファームでの扱い
重要指標としてのランクは高いです。
- 重要度ランク: 多くのカレンダーで「高(Red Folder)」に設定されています。
- 取引制限: Fintokeiなどのニュース取引制限の対象になることが一般的です。 特に、GDPの速報値が近い時期などは市場の注目度が高まるため、ボラティリティの拡大に十分注意してください。
まとめ
耐久財受注は、米国製造業の「本気度」を測る指標です。
- 「3年以上使えるモノ」の注文状況
- 航空機などの影響で「総合」は暴れる
- 本当のトレンドは「コア資本財(除航空機)」を見る
ニュースの見出しで「耐久財受注、予想外の急増!」と出ても、すぐに飛びつかず、「また飛行機のおかげかな?」と内訳を確認する冷静さを持ってください。