小売売上高とは?
まず、なぜ世界中のトレーダーがこの指標を注視するのか、その理由を叩き込んでおきましょう。
アメリカは「消費大国」です。米国GDP(国内総生産)の約7割を個人消費が占めています。
つまり、「個人がモノを買っているか」=「アメリカ経済が強いか」をダイレクトに測る体温計が、この小売売上高なのです。
米国・小売売上高(Retail Sales)
- 発表時期: 毎月15日前後(夏時間は日本時間21:30、冬時間は22:30)。
- 調査対象: 小売業・食品サービス業の売上高(サンプル調査)。
- 特徴: 速報性が高く、市場予想との乖離が起きやすいため、ボラティリティ(価格変動)が大きくなる傾向がある。
雇用統計との関係性
雇用統計で「給料(平均時給)が増えた」としても、実際にそのお金が「使われなければ」経済は回りません。 雇用統計が「稼ぐ力」なら、小売売上高は「使う力」を見る指標です。この両輪が揃って初めて、FRBは利上げや利下げの判断を固めます。
「総合」と「コア」の違いに注意
ニュースのヘッドラインだけで「予想より良かった!ロングだ!」と飛びつくのは危険です。小売売上高には2つの数字があります。
総合指数(Headline)
- 自動車ディーラー、ガソリンスタンド、百貨店などすべての売上を含む。
- 特徴: 自動車販売やガソリン価格の変動に数値が大きく左右される。
- 注意点: ガソリン価格が上がっただけで「数値が良く見える」ことがあるため、騙されやすい。
コア指数(Core)
- 変動の激しい自動車(場合によってはガソリン・建材・食品サービスも)を除いた数値。
- 特徴: 消費者の「基礎的な購買意欲」を反映しやすい。
- 重要性: トレンドを把握するために、プロやFRBはこちらを重視する傾向がある。

以前、総合指数が予想を上回った瞬間にドル円を買って、直後に急落した経験があります。 よく見たら、総合が良かったのは単に「ガソリン価格高騰」のせいで、肝心のコア指数はボロボロだったんです。 ヘッドラインの数字だけでなく、必ず「除自動車(Ex-Auto)」の数値を確認する癖をつけてください。
Fintokeiトレーダーが気をつけるべき「3つの罠」
ここが本記事のハイライトです。通常のFX口座と違い、Fintokeiなどのプロップファームでは、この指標発表時に特有のリスク管理が求められます。
Fintokei合格を目指すなら、指標発表の瞬間にポジションを持つ「ギャンブル」は避けるのが賢明です。どうしてもトレードしたい場合は、発表から15分〜30分待ち、初期変動(初動)が落ち着いてから方向感に乗ることを強く推奨します。
結果の読み方と相場への影響
基本的なセオリーは以下の通りですが、「市場が今、何を気にしているか(インフレ懸念か、リセッション懸念か)」で反応が変わります。
基本シナリオ
- 結果 > 予想(ポジティブサプライズ)
- 解釈:経済は堅調。インフレ圧力継続。
- 金利見通し:利下げ遠のく(または利上げ)。
- 為替反応:ドル買い(USD高)。
- 結果 < 予想(ネガティブサプライズ)
- 解釈:消費減退。景気後退(リセッション)の懸念。
- 金利見通し:利下げ期待の高まり。
- 為替反応:ドル売り(USD安)。
「実質」で見ることの重要性
近年はインフレ(物価高)が続いています。 売上高の金額が増えていても、「単に商品の値段が上がったから、支払額が増えただけ」で、「買われた個数(数量)」は減っているケースがあります。
インフレ調整後の視点 小売売上高は「名目値(金額)」で発表されます。CPI(物価指数)が高い時期に小売売上高が横ばいだと、実質的には「消費量は減っている」ことになります。アナリストのコメント等で「実質消費はマイナス」という言葉が出たら、ドル売り圧力が強まる可能性を警戒してください。
まとめ
最後に、私が小売売上高の日に意識していることをまとめます。
- ポジション調整: Fintokei口座では、発表5分前にはポジションをスクエア(ノーポジ)にする。
- コア指数の確認: 発表直後、ヘッドラインの数値だけでなく、必ず「コア(Ex-Auto)」と「前回数値の改定(修正)」を確認する。
- ※前回数値が大幅に下方修正された場合、今回の数値が良くても「全戻し」になることが多いです。
- 初動は見送る: 最初の一振れは「ダマシ」が多い。5分足が確定し、トレンドが出始めてからエントリーを検討する。
小売売上高は、相場のトレンドを決定づけるパワーを持っています。だからこそ、Fintokeiのルールを守り、資金を守りながら、冷静にチャンスを待ちましょう。