米雇用統計(NFP)とは?
FXを始めたばかりの人が、最初に洗礼を受けるのが「米雇用統計」です。
毎月第1金曜日の夜、チャートが狂ったように乱高下し、スプレッド(手数料)が大きく開く…。 トレーダーの間では「お祭り」とも呼ばれる、世界で最も注目される経済指標です。
「大きく動くなら稼ぐチャンス!」と思うかもしれませんが、実はプロほどこの時間は取引を避けます。 この記事では、米雇用統計の仕組みと、なぜこれほど危険で重要なのかを解説します。
米雇用統計(The Employment Situation)とは
米雇用統計は、米国労働省(BLS)が毎月第1金曜日に発表する、米国の労働市場の状況をまとめたレポートです。 (※祝日の関係で第2金曜日になることもあります)
このレポートには10項目以上のデータが含まれますが、トレーダーが見るべき数字は以下の「3本柱」です。
- 非農業部門雇用者数(NFP): 農業以外で働いている人の増減数
- 失業率: 労働力人口に対する失業者の割合
- 平均時給: 労働者の賃金の伸び率
「量」のNFP vs 「質」の平均時給
近年の相場で特に重要なのが、「雇用者数(NFP)」と「平均時給」の関係です。 これらは時として矛盾したシグナルを出すため、相場を混乱させます。
非農業部門雇用者数(NFP)
- 意味:雇用の「量(Quantity)」
- 注目点:予想より多いか、少ないか
- 影響:経済の「勢い」を示す
平均時給(Average Hourly Earnings)
- 意味:雇用の「質(Quality)」
- 注目点:賃金が上がっているか(インフレ懸念)
- 影響:FRBの「利上げ・利下げ」を左右する
3つの数字の具体的な見方
1. 非農業部門雇用者数(NFP)
通称「ノンファン」。最もヘッドライン(見出し)で騒がれる数字です。 「予想に対してプラスかマイナスか」が全てです。
- 予想より強い(大幅増): 経済が強い → ドル買い(ドル円上昇)
- 予想より弱い(大幅減): 経済が失速 → ドル売り(ドル円下落)
2. 失業率(Unemployment Rate)
基本的には低いほうが良いですが、「労働参加率」との兼ね合いが重要です。 「職探しを諦めた人」が増えて失業率が下がった場合は、見かけ上の改善なのでドル買いにはなりません。
3. 平均時給(重要度急上昇中)
インフレの行方を占うために、FRB(中央銀行)が最も気にしている数字です。
賃金・物価スパイラルに注意 たとえNFP(雇用の数)が減っていても、「平均時給」が予想以上に上がっている場合は注意が必要です。 「賃金上昇によるインフレ」を警戒して、結果的に「ドル買い」になるパターンが頻発しています。
「修正値(リビジョン)」の罠
雇用統計には、もう一つ大きな罠があります。 それが過去分の修正(リビジョン)です。
発表の瞬間、最新の月の数字と同時に「先月分」「先々月分」の数字も修正されて発表されます。

『今月のNFPは予想より良かった!ドル買いだ!』と思って飛び乗ったら、実は先月分が大幅に下方修正されていて、トータルで見るとマイナスだった…という理由で暴落することがよくあります。初動のダマシの正体はこれです。
トレードでの活かし方と対策
1. 「全戻し(行って来い)」を警戒する
雇用統計の発表直後は、AI(アルゴリズム)や投機筋が入り乱れ、「上にドカンと上げてから、全戻しして下に突き抜ける」といった理不尽な動き(通称:往復ビンタ)が頻発します。 方向感が定まるまでの最初の15分〜30分は様子見するのが、生き残るコツです。
2. ノートレードが最強の戦略
多くのプロトレーダーは、雇用統計の時間を「答え合わせの時間」として使い、新規エントリーはしません。 スプレッドが通常の10倍以上に開くこともあり、リスクリワード(期待値)が極端に悪くなるからです。
Fintokeiなどのプロップファームでの扱い
Fintokeiなどのプロップファームでは、雇用統計は最も警戒レベルが高いイベントです。
- ニュース取引制限(Red Folder): 多くのプランで、発表の前後(例:前後2分間)の新規注文や決済が禁止されています。
- スリッページのリスク: たとえ制限がないプランでも、注文した価格から大きく滑って約定し、一瞬で失格ライン(ドローダウン)に達する事故が多発します。
まとめ
米雇用統計は、月に一度の「お祭り」ですが、参加者が全員楽しめるわけではありません。
- NFP(量)と平均時給(質)の両方を見る
- 過去の修正値によって動きが反転することがある
- プロップファーム挑戦中は「手を出さない」のが正解
チャートが激しく動く様子を、高みの見物で楽しむ。 それが、”長く生き残るトレーダー”の雇用統計の過ごし方です。