【TradingView】3本のEMAが織りなす王道プルバック戦略!その驚きの性能とは?

ストラテジー検証
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はじめに:聖杯探しの旅と、王道手法への回帰

FXの世界に足を踏み入れたトレーダーなら、誰もが一度は「聖杯」、つまり確実に利益を生み出し続ける完璧な手法を探し求める旅に出ます。複雑なインジケーターを組み合わせ、難解な理論を学び、時には高額なツールに手を出すこともあるでしょう。

しかし、多くの熟練トレーダーが最終的に行き着くのは、驚くほどシンプルな「王道」の手法です。その中でも、移動平均線(EMA)を使ったトレンドフォロー戦略は、まさに王道中の王道と言えるでしょう。

今回は、そんな王道手法の根幹をなす「パーフェクトオーダー」と「プルバック(押し目買い・戻り売り)」を組み合わせた、非常に論理的で優位性の高そうな自動売買ストラテジーを開発しました。

その名は「Trade Agency Three EMA Pullback Strategy」。

このストラテジーは、明確なトレンド発生を捉え、一時的な価格の調整(押し目・戻り)を待ってからエントリーすることで、リスクを抑えつつトレンドの波に乗ることを目的としています。理論上は、これ以上なく合理的なアプローチです。

この記事では、このストラテジーの美しいロジックの全貌と、その開発に至るまでの思考プロセス、そして誰もが期待を寄せるであろうその性能について、徹底的に解説していきます。

ストラテジーの心臓部:3本のEMAが織りなす優位性

本ストラテジーの根幹をなすのは、短期・中期・長期の3本の指数平滑移動平均線(EMA)です。なぜEMAなのか、そしてなぜ3本なのか。そこには明確な理由があります。

トレンドを定義する「パーフェクトオーダー」

FXで利益を上げるための基本原則は「トレンドに従うこと」です。本ストラテジーでは、トレンドの方向性を視覚的かつ機械的に判断するために「パーフェクトオーダー」という状態を利用します。

  • 上昇トレンドの定義:短期EMAが中期EMAの上にあり、中期EMAが長期EMAの上にある状態(短期 > 中期 > 長期)。さらに、長期EMA自体も上向きであること。
  • 下降トレンドの定義:短期EMAが中期EMAの下にあり、中期EMAが長期EMAの下にある状態(短期 < 中期 < 長期)。さらに、長期EMA自体も下向きであること。

この序列が綺麗に整った状態は、一方向への強い勢いが生まれていることを示唆しており、トレードする上で最も信頼性の高い環境認識の一つとされています。多くのトレーダーが意識するこの状態をエントリーの前提条件とすることで、無駄なトレードをフィルタリングし、優位性の高い局面のみを狙い撃ちします。

最適なエントリータイミングを捉える「プルバック」

強いトレンドが発生しているからといって、闇雲に飛び乗るのは賢明ではありません。価格は一直線に動くのではなく、波のように上下動を繰り返しながらトレンドを形成していくからです。高値掴みや安値売りを避けるために、本ストラテジーでは「プルバック」、つまり「押し目」や「戻り」を狙います。

  1. まず、パーフェクトオーダーによって明確なトレンドを確認します。
  2. 上昇トレンド中であれば、価格が一時的に下落し、中期EMAまで「押し」を形成するのを待ちます。
  3. 下降トレンド中であれば、価格が一時的に上昇し、中期EMAまで「戻り」を形成するのを待ちます。
  4. この押しや戻りを確認した状態を「監視モード」とし、絶好のエントリーチャンスを虎視眈々と狙います。

エントリーと決済の明確なルール

「監視モード」に入った後、いよいよエントリーのトリガーを引きます。

  • ロングエントリー:監視モード中に、価格が再度上昇に転じ、短期EMAを上抜けたタイミングで買い注文を出します。
  • ショートエントリー:監視モード中に、価格が再度下落に転じ、短期EMAを下抜けたタイミングで売り注文を出します。

これは、トレンド方向への勢いが再開したことを示すシグナルであり、非常に精度の高いエントリーポイントとなり得ます。

決済ルールもまた、シンプルかつ合理的です。

  • 利確(Take Profit):エントリー後、一定のpips数(今回は40pips)で確実に利益を確定させます。
  • 損切り(Stop Loss):想定と逆に動き、短期EMAを反対方向にクロスしてしまった時点で損切りします。これにより、トレンドの転換を素早く察知し、損失の拡大を防ぎます。

トレンド認識、エントリータイミング、決済ルール。そのどれもが論理的に構築されており、まさに教科書のようなトレード戦略と言えるでしょう。

検証結果:理論は現実に通用するのか?

今回の検証は、以下の共通条件で行いました。

  • 取引通貨ペア: USD/JPY
  • 時間足: 5分足
  • 初期口座残高: 1,000,000円
  • ロット計算: 口座残高の4%の利益を狙う複利運用

下記の表は、期間の異なる4つのパターンでのテスト結果です。バックテストは過去のデータに基づく検証であり、将来の利益を保証するものではない点にご注意ください。ご自身のトレード環境で十分な検証を行うことを強く推奨します。

時間足期間合計損益最大ドローダウンプロフィットファクター勝率
52025/05/12 – 2025/08/22+708,680(+70.87)309,670(16.58%)1.42625.61%
52024/08/22 – 2025/08/22+996,831(+99.68%)578,580(39.93%)1.16122.28%
52020/08/22 – 2025/08/25+1,465,063(+146.51%)841,670(45.20%)1.06220.04%
52002/05/07 – 2025/08/22-984,256(-98.43%)996,077(99.61%)0.87617.74%
初期口座残高1,000,000円、取引通貨ペアUSD/JPYでのテスト結果

結論:非情なる現実と失敗からの教訓

さて、テーブルの数値をご覧になって、皆様はどう思われたでしょうか。

…残念ながら、これが現実です。あれほど美しく、論理的に完璧だと思われたこのストラテジーは、長期的に見て資産を増やすことができませんでした。右肩上がりの資産曲線を描くどころか、資産を減らすか、横ばいという結果に終わったのです。

「王道」と「理論」だけでは、複雑怪奇な相場の世界を生き抜くことはできなかったのです。

では、なぜこのロジックは機能しなかったのでしょうか。失敗の要因を分析することは、成功への何よりの近道です。

失敗の要因分析

  1. 損切り貧乏の罠:損切りラインとして設定した短期EMAが、あまりにも価格に近すぎました。これにより、トレンド継続中のわずかなノイズや一時的な調整で損切りが多発。コツコツと損失を積み重ね、たまの利確では到底カバーしきれない「損切り貧乏」状態に陥ってしまいました。
  2. 固定利確の限界:相場のボラティリティは常に変動します。大きなトレンドが発生し、100pips以上の利益が見込める場面でも、40pipsで早々に利確してしまいます。いわゆる「損大利小」の典型的なパターンであり、大きな利益を逃し続ける構造的な欠陥がありました。
  3. パーフェクトオーダーの遅延:3本のEMAが綺麗に並ぶパーフェクトオーダーが完成した時点では、既にトレンドがかなり進行し、終盤に差し掛かっているケースが多く見られました。つまり、最も美味しいトレンドの中盤を逃し、終焉間際の高値・安値でエントリーしては、その後の調整や転換に巻き込まれることが頻発したのです。
  4. レンジ相場への脆弱性:このストラテジーは明確なトレンド相場を前提としています。しかし、相場の7割はレンジ相場とも言われます。方向感のないレンジ相場では、EMAが頻繁にクロスし、無意味なエントリーと損切りを繰り返し、みるみるうちに資金を消耗していきました。

まとめ:失敗は最高の財産である

今回ご紹介した「Trade Agency Three EMA Pullback Strategy」は、残念ながら「失敗作」でした。しかし、この失敗から私たちは非常に多くのことを学ぶことができます。

  • 机上の空論で完璧に見えるロジックも、実際の相場では機能しないことがある。
  • 損切りと利確のバランスがいかに重要か(損大利小の危険性)。
  • あらゆる相場状況(トレンド・レンジ)に対応できる柔軟性が必要である。
  • バックテストによる徹底的な検証なくして、自動売買で成功することはあり得ない。

このブログを読んでくださっている皆様も、どうかこの失敗例を他山の石としてください。自動売買の道は、このような無数の検証と失敗の先にこそ拓けるものです。

今回の挑戦は苦い結果に終わりましたが、私たちは諦めません。この失敗を糧に、さらに優れたストラテジーの開発を続けていきます。

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