【TradingView】200SMAとストキャスRSIを組み合わせたFX順張り方向の逆張り戦略「Trade Agency RSI Strategy」を徹底解説

ストラテジー検証
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はじめに:「Trade Agency RSI Strategy」とは?

FXトレードの世界には無数の戦略が存在しますが、その多くは「トレンドフォロー(順張り)」と「カウンタートレード(逆張り)」の2つの基本的な考え方に分類されます。今回ご紹介する「Trade Agency RSI Strategy」は、この両方の要素を巧みに組み合わせた、シンプルかつ強力なトレード戦略です。

具体的には、長期的なトレンドの方向性を「200期間単純移動平均線(SMA)」で判断し、そのトレンドの方向に沿った押し目や戻りのタイミングを「ストキャスティクスRSI(Stoch RSI)」で捉えてエントリーします。

この戦略の最大の魅力は、ロジックが非常に明確であるため、初心者の方でも理解しやすく、感情的な判断を排除したシステムトレードに適している点です。この記事では、Pineスクリプトのコードを紐解きながら、その核心的なロジック、リスク管理手法、そして潜在的なメリット・デメリットについて深く掘り下げていきます。

ストラテジーの核心ロジック

この戦略は、大きく分けて「トレンド判断」と「エントリータイミング」の2つの要素で構成されています。それぞれの役割を見ていきましょう。

トレンド判断:200期間SMAの役割

FXで安定した利益を上げるためには、現在の相場が上昇トレンドなのか、下降トレンドなのか、あるいは方向感のないレンジ相場なのかを正確に把握する「環境認識」が不可欠です。

このストラテジーでは、その環境認識の道具として「200期間単純移動平均線(SMA)」を採用しています。200SMAは、多くのトレーダーが長期的なトレンドの分水嶺として意識している非常にポピュラーなテクニカル指標です。

ロジックは極めてシンプルです。

  • 価格が200SMAより上にある場合 → 上昇トレンドと判断し、買い(ロング)エントリーのみを検討します。
  • 価格が200SMAより下にある場合 → 下降トレンドと判断し、売り(ショート)エントリーのみを検討します。

このように、長期的なトレンドに逆らう無謀なエントリーをフィルタリングすることで、トレードの勝率を安定させることを目指します。大きな流れに乗ることこそ、トレードの王道と言えるでしょう。

エントリーのタイミング:Stoch RSIの活用法

長期的なトレンドの方向性が分かったら、次に考えるべきは「いつエントリーするか」です。ここで登場するのが「ストキャスティクスRSI(Stoch RSI)」です。

Stoch RSIは、RSI(相対力指数)をさらにストキャスティクスの計算式で加工したオシレーター系のインジケーターで、相場の「買われすぎ」や「売られすぎ」をより敏感に察知することができます。

この戦略では、Stoch RSIの%K線が特定の値に達したことをエントリーのトリガーとします。

  • ロング(買い)の条件:
    1. 価格が200SMAより上にある(上昇トレンド)。
    2. Stoch RSIの%K線が15未満になる(売られすぎ)。
  • ショート(売り)の条件:
    1. 価格が200SMAより下にある(下降トレンド)。
    2. Stoch RSIの%K線が85より大きくなる(買われすぎ)。

これは、言い換えれば「長期的なトレンド方向への、一時的な価格の調整(押し目・戻り)を狙う」戦略です。上昇トレンド中に価格が一時的に下落し「売られすぎ」サインが出たところで買い、下降トレンド中に価格が一時的に上昇し「買われすぎ」サインが出たところで売る。これは「順張り方向の逆張りエントリー」とも呼べる、非常に理にかなった手法です。

また、一度ポジションを持つと、次のシグナルが発生してもエントリーしない設計になっており、無用なポジションの乱立を防ぎます。

リスク管理と資金管理

どんなに優れたエントリーロジックも、適切なリスク管理と資金管理が伴わなければ、いずれ大きな損失を被る可能性があります。このストラテジーには、その点においても明確なルールが組み込まれています。

明確な利確と損切

本戦略では、エントリーと同時に、あらかじめ設定した固定pipsで利確(テイクプロフィット)と損切(ストップロス)の注文を出します。

  • 利確(TP): 40 pips
  • 損切(SL): 20 pips

この設定の最大のメリットは、トレードにおける感情の介入を完全に排除できることです。「まだ利益が伸びるかもしれない」「もう少し待てば価格が戻るはずだ」といった希望的観測を捨て、機械的にトレードを完結させることができます。

注目すべきは、リスクリワードレシオが「2:1」である点です。これは、1回の負けトレードの損失(20 pips)を、1回の勝ちトレードの利益(40 pips)で2回分カバーできることを意味します。理論上、勝率が34%以上あれば、トータルで利益がプラスになる計算となり、勝率だけに依存しない優位性の高い設計と言えます。

複利効果を狙う独自のロット計算

このストラテジーのもう一つの特徴が、独自のポジションサイジング(ロット計算)方法です。

一般的な固定ロットでの運用とは異なり、「現在の口座残高に対して、1回のトレードで何%の利益を狙うか」を基準に、毎回のエントリーで通貨量を自動計算します。

具体的には、以下の計算式に基づいています。

  1. 目標利益額(円)を計算: 口座残高 × 設定利益率(デフォルト4%)
  2. 注文する通貨量を計算: 目標利益額 ÷ 1通貨あたりの利確幅(40 pips分の円換算額)

この方法により、トレードで利益が出て口座残高が増えれば自動的にロット数も増え、複利効果で資産の増加ペースが加速します。逆に、損失が出て口座残高が減ればロット数も減るため、リスクが自動的に抑制されるという、資金管理の面で非常に優れた仕組みです。

バックテスト結果

ここでは、本ストラテジーの過去のパフォーマンスを示すバックテスト結果を掲載します。

今回の検証は、以下の共通条件で行いました。

  • 取引通貨ペア: USD/JPY
  • 時間足: 5分足
  • 初期口座残高: 1,000,000円
  • ロット計算: 口座残高の4%の利益を狙う複利運用

下記の表は、期間の異なる4つのパターンでのテスト結果です。バックテストは過去のデータに基づく検証であり、将来の利益を保証するものではない点にご注意ください。ご自身のトレード環境で十分な検証を行うことを強く推奨します。

時間足期間合計損益最大ドローダウンプロフィットファクター勝率
52025/05/12 – 2025/08/22+831,600(+82.27%)279,200(23.98%)1.18337.18%
52024/08/22 – 2025/08/22+1,480,600(+146.77%)935,800.00(38.64%)1.07635.04%
52020/08/22 –
2025/08/22
+3,043,100(+302.68%)1,199,400(55.65%)1.04734.21%
52002/05/07 –
2025/08/22
+8,045,700(+802.64%)2,917,100(105.09%)1.03633.97%
初期口座残高1,000,000円、取引通貨ペアUSD/JPYでのテスト結果です

トレードの自動売買化について

この「Trade Agency RSI Strategy」は、TradingViewのアラート機能を利用して、取引の自動売買システムを構築することが可能です。ロジックが明確であるため、プログラム化との相性も良好です。

もし、この戦略を基にした自動売買システムの開発にご興味がありましたら、以下のリンクからお気軽にご相談ください。クラウドソーシングサービスの「CrowdWorks」にて、経験豊富な開発者がご要望に応じたカスタマイズや開発を承ります。

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このストラテジーのメリットとデメリット

最後に、この「Trade Agency RSI Strategy」の長所と短所を客観的に整理してみましょう。

メリット

  • ロジックの明確さ: トレンド判断、エントリー、エグジットのルールが非常にシンプルで、誰でも再現しやすいです。
  • トレンドフィルター: 200SMAによって大きなトレンドに逆らうエントリーが抑制され、大局観に沿ったトレードが可能です。
  • 優れたリスクリワード: 損失を限定しつつ利益を伸ばす2:1のリスクリワード比率は、長期的な運用において大きな強みとなります。
  • 高度な資金管理: 口座残高に応じたロット自動計算機能により、複利運用とリスク管理を両立できます。

デメリット

  • レンジ相場に弱い可能性: 価格が200SMAを頻繁に上下するような方向感のない相場では、ダマシのシグナルが増える可能性があります。
  • 利益を伸ばしきれない場合がある: 固定pipsでの利確のため、強いトレンドが発生した際に、より大きな利益を得るチャンスを逃すことがあります。
  • パラメータの最適化: Stoch RSIのレベル(15/85)や利確・損切幅は、すべての通貨ペアや時間足で最適とは限りません。相場状況に応じた調整が必要になる場合があります。

まとめと今後の展望

「Trade Agency RSI Strategy」は、トレンドフォロー、オシレーター、そして資金管理という、トレードにおける3つの重要な要素をバランス良く組み合わせた、非常に堅実な戦略です。

そのシンプルさゆえにカスタマイズの余地も大きく、例えば、他のインジケーターをフィルターとして追加したり、ボラティリティに応じて利確・損切幅を変動させたりといった改良も考えられるでしょう。

このストラテジーは、TradingViewのアラート機能を使えば、取引の自動化も可能です。まずはご自身の得意な通貨ペアや時間足でデモトレードから試し、その有効性を体感してみてはいかがでしょうか。この記事が、あなたのトレード戦略構築の一助となれば幸いです。

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