FXでチャートを開くと、まず目に入るのが赤と青(または白と黒)の棒グラフのようなもの。これが「ローソク足」です。一見するとただの棒に見えるかもしれませんが、実はこの一本一本に、市場参加者たちの心理や値動きの勢いといった、膨大な情報が凝縮されています。
チャート分析の最も基本的なスキルであるローソク足の読み方をマスターすれば、相場の「今」が分かり、未来の値動きを予測する精度が格段に上がります。
この記事では、ローソク足の超基本から、代表的な足の形が示す投資家心理まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。
ローソク足1本で何が分かる?基本の4本値
ローソク足は、ある一定期間(1分、1時間、1日など)の値動きを「4本値(よんほんね)」を使って1本の形で表したものです。

- 始値(はじめね): その期間の最初に付いた価格
- 終値(おわりね): その期間の最後に付いた価格
- 高値(たかね): その期間で最も高かった価格
- 安値(やすね): その期間で最も安かった価格
この4つの価格を、「実体」と「ヒゲ」という2つのパーツで表現します。
- 実体(じったい): 始値と終値の間の四角い部分。価格の勢いを表します。
- ヒゲ: 実体から上下に伸びる線。高値(上ヒゲ)と安値(下ヒゲ)を示します。
そして、ローソク足の色が非常に重要です。
- 陽線(ようせん): 終値が始値より高い状態。価格が上昇したことを示します。(一般的に青や白で表示)
- 陰線(いんせん): 終値が始値より低い状態。価格が下落したことを示します。(一般的に赤や黒で表示)
つまり、ローソ-ク足1本を見るだけで、「期間の始めと終わりで価格が上がったのか下がったのか」「どれくらいの勢いがあったのか」「どれくらいの価格幅で動いたのか」という3つの情報を瞬時に読み取れるのです。
形で読み解く投資家心理!代表的なローソク足6選
ローソク足は、実体とヒゲのバランスによって様々な形になり、それぞれが異なる投資家心理を物語っています。ここでは特に重要な6つの形を紹介します。
大陽線(だいようせん)

始値から終値まで一貫して上昇した、実体が長い陽線。ヒゲが短いか全くないのが特徴です。
投資家心理: 「買い」の勢いが非常に強く、市場は強気一色。上昇トレンドの始まりや継続を示唆します。
大陰線(だいいんせん)

大陽線とは逆に、一貫して下落した、実体が長い陰線です。
投資家心理: 「売り」の勢いが圧倒的。市場は弱気ムードで、下落トレンドの始まりや継続を示唆します。
コマ(独楽)

実体が短く、上下にヒゲが伸びている形。コマのように見えることから名付けられました。
投資家心理: 買いと売りの力が拮抗している状態。「買いたい人」と「売りたい人」がせめぎ合っており、相場が方向性を見失っていることを示します。トレンドの転換点に出現することも多いです。
上ヒゲ陽線/陰線(うわひげ)

上に長いヒゲが伸びているローソク足。トンカチとも呼ばれます。
投資家心理: 一度は価格が大きく上昇した(上ヒゲの先端)ものの、売りの圧力に押し戻されて終わったことを示します。高値圏でこの形が出ると、上昇の勢いが弱まり、下落への転換を示唆するサインとなります。
下ヒゲ陽線/陰線(したひげ)

下に長いヒゲが伸びているローソク足。カラカサとも呼ばれます。
投資家心理: 一度は大きく下落した(下ヒゲの先端)ものの、買いの力によって価格が押し上げられたことを示します。安値圏で出現すると、売りの勢いが衰え、上昇への転換を示唆する強いサインです。
十字線(じゅうじせん)/ 同時線(どうじせん)

始値と終値がほぼ同じ価格で、実体がないか非常に短い線です。
投資家心理: コマよりもさらに迷いが強い状態。相場のエネルギーが完全に均衡しており、トレンドの大きな転換点になる可能性を秘めています。
まとめ:ローソク足は相場の声
ローソク足は、単なる価格の記録ではありません。その形や色から、世界中のトレーダーが何を考え、どう行動したのかという「相場の声」を聞くことができます。
- 基本の4本値(始値・終値・高値・安値)を理解する。
- 陽線は上昇、陰線は下落のサイン。
- 実体の長さは「勢い」、ヒゲの長さは「抵抗」の強さを表す。
まずはチャートを開いて、気になるローソク足がどんな形をしているか、そしてその形がどんな心理を表しているのかを考える習慣をつけてみましょう。それが、チャート分析マスターへの確実な第一歩となるはずです。
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